独身女性・独身男性の「おひとりさまのお墓」はどうする?

従来ではお墓は家族で代々引き継いでいくものでしたが、近年では、ひとりだけで使用できるお墓も増えています。
今回の記事では、独身の方や一人暮らしの方のお墓について解説します。
目次
お墓は必要?いらない?
お墓は必ず持たなければいけないのでしょうか。
お墓は必ずしも必要ではない
お墓を「遺骨を納める所」として考えると、お墓は必ずしも持つ必要はありません。
お墓を持たなくても、故人を追悼したり、遺骨を供養する方法はあります。
また、お墓の中でも、合祀墓や永代供養塔などの、みんなで使うお墓を検討してもいいでしょう。
遺骨は必ず何らかの形で弔う必要はある
ただし、遺骨は何らかの形で必ず弔う必要があります。
自分の死後、遺骨を適当な所に埋めてもらったり、ゴミに出してもらったりするということは、法律に違反するのでできません。
お墓を持たない場合は、散骨が考えられます。
散骨が合法か違法かの司法判断は現在に至るまでなされていませんが、1991年の法務省の非公式見解をもって、現状では黙認されています。
親類や縁者とも話してみて
お墓を持たないということは、故人の前でお参りすることができなくなるということです。
残された縁者がお参りをしたいと思うなら、墓石を建てるまでせずとも、樹木葬などのお墓は残してあげてもいいかもしれません。
最終的には自分で決めることですが、周りの意見も聞いてみましょう。
独身・単身者のお墓はどうすればいい?
おひとり様のお墓は、どうすればいいのでしょうか。
現代では従来の墓石のお墓だけでなく、一人でも気軽に使える小さなお墓も一般的になってきました。
独身・単身者のお墓は永代供養墓がおすすめ
永代供養墓とは、家族や親族に代わり、墓地や霊園を管理しているお寺が供養してくれるお墓のことです。
霊園や墓地が存続する限り供養を続けてくれるので、跡継ぎがいなくても無縁墓になりません。
供養の具体的な内容は墓地によりますが、多くの場合は年に1~数回の合同法要をもって供養とします。
お墓の形は一般的な墓石のものより、樹木葬や納骨堂などの新しいお墓の形を取るものが主流です。
個別区画には使用期限が定められていることが多く、期限後は合葬墓に遺骨を移されることが多い点に注意しましょう。
この他、収骨人数、年間管理費の有無、費用など、プランや形態は様々です。
永代使用料と永代供養料の違い
「永代使用料」とは、「永代にわたり墓所を使用できる権利」を取得するための料金です。お墓の総額のうち、土地にかかる費用です。
永代使用料は「使用」に対しての権利にかかる料金であり、「供養」に対してのものではありません。
したがって、永代使用料を支払ったからと言って、お墓の供養を墓地や霊園がしてくれるわけではありません。
独身・単身者におすすめの永代供養墓の種類
おひとり様のお墓は、永代供養墓がおすすめです。
永代供養墓の種類を紹介します。
合葬墓・合祀墓
【費用相場】3万~30万円/1人



「合わせて祀る」という宗教的な意味合いを伴って、「合祀墓(ごうしぼ)」とも呼ばれます。
合葬墓は、お墓の中では最も費用を抑えられる形態です。ほとんどの場合で年間管理費もかかりません。
樹木葬
【費用相場】5万~60万円(※一人で使用する場合)



従来の墓石のお墓より、初期費用も年間管理費も安く抑えられます。
樹木葬の種類も様々で、最近の樹木葬では必ずしも遺骨を土に還さない点に注意しましょう。一定期間後には合祀墓に遺骨を移す墓地も珍しくありません。
費用を抑えて個別のお墓を用意したい方や、自然志向の方にはおすすめです。
集合個別墓
【費用相場】10万~80万円(※一人で使用する場合)



納骨室が分かれているので、指定の期間は、他の方と遺骨が混ざりません。
数は多くありませんが、将来にわたって無期限に個別区画で供養する墓地もあります。
銘鈑などを設ける場合が多く、故人がどこで眠っているかが分かります。いきなり合葬されることに抵抗がある方にはおすすめです。
納骨堂
【費用相場】10万~100万円(※一人で使用する場合)



一人用区画は、ロッカー式と位牌式に多く見られます。
一人用の永代供養墓としては費用は割高ですが、屋内のお墓なので季節を問わずに快適にお参りできます。
永代供養墓以外の選択肢2つ
永代供養墓以外にも、独身の方や単身者の葬送の方法はいくつか考えられます。
親族の代々のお墓に入る
【費用相場】少額諸経費のみ


従来の慣習に則れば、家墓には本家の家族しか入りませんが、墓地の管理規則と墓の使用者が許せば、次男や娘も入ることができます。
もし本家の墓があり、引き継いでいける人がいるなら相談してみましょう。
逆に、自分が墓の跡継ぎである場合や、本家の墓も跡継ぎが途絶えそうな場合は、他の方法を検討しましょう。
散骨する
【費用相場】3万~30万円


粉骨から散骨まですべてを業者に依頼すると、費用は一番安い所で3万円程度に抑えられますが、家族が自らの手で粉骨や散骨をする場合は、費用が上がります。
お墓を作らないためお世話や維持費などの負担が無い一方で、お参りをする場所もないために遺された人が寂しいと感じることもあります。
友達と一緒にお墓に入ることはできる?
永代供養墓であれば、友人やパートナー同士など、法的に家族や親族でない方とも一緒に入れるところもあります。
一方、一般墓の場合は、墓地の管理規則で、納骨できる人は親族に限定される場合がほとんどです。
友人同士で入れる永代供養墓がある墓地・霊園には、以下のようなものがあります。
- 真英寺メモリアルパーク(東京都新宿区)
- 永代供養付花壇墓「日月花苑」(東京都江戸川区)
- 小平メモリアルガーデン(東京都東村山市)
- 環境霊園横浜みどりの森 樹木葬・永代供養墓(神奈川県横浜市)
- 戸塚アルヴェアージュ(神奈川県横浜市)
- 新所沢霊園アルヴェアージュ(埼玉県川越市)
- 樹木葬なごみ(群馬県高崎市)
- 谷和原御廟霊園 永代供養墓(茨城県常総市)
- 実成寺 やすらぎ墓地区画(愛知県あま市)
- パークフォレスト堺(大阪府堺市)
- 真駒内滝野霊園 永代供養墓(北海道札幌市)
- ガーデン型樹木葬・青葉めぐみの墓苑(宮城県仙台市)
- 佐々中央霊園(長崎県北松浦郡佐々町)
女性1人で入りやすい女性専用のお墓はある?
昨今のニーズに応えて、女性専用の永代供養墓を設ける霊園も増えつつあります。
女性専用区画を設けている墓地・霊園には、以下のようなものがあります。
独身・単身者がお墓を用意せずに死んだらどうなるの?
単身者が亡くなった場合、遺骨は親族などに引き渡されます。
お墓を用意しないまま亡くなった場合、ご遺骨は親族の判断で納骨などが行われます。
遺骨を引き渡す親族がいなかった場合は、遺骨は一度自治体が引き取ります。
遺骨は、行旅死亡人などと共に、自治体が管理している無縁塚などに埋葬されます。無縁塚の形態は、読経などの供養がなされない合葬型のお墓です。
あるいは、近隣の寺院などに安置される場合もあります。
次の記事もご参照ください。
一人っ子で独身…今ある家墓はどうすればいい?
自分が一人っ子で独身であれば、代々引き継いできた家墓は自分の代で面倒が見れなくなってしまいます。
面倒が見れなくなったお墓は「無縁墓」となり、誰にも手入れされない、供養されないお墓になります。
お墓を放置することは墓地に迷惑になる他、雑草が伸びたり石塔が倒れたりすれば近隣のお墓や参拝者に迷惑をかけます。
家墓はどうすればいいでしょうか。
対処法1:叔父などの親戚にお墓を引き継げないか相談する
親族にお墓を引き継いでもらえないかを相談する方法です。
生前のうちに「お墓を譲る」ということは通常できませんので、具体的には、現在のお墓の名義人が亡くなった後、そのお墓の承継者になってもらうというやり方です。
例えば、自分の父が長男で、現在の家墓の名義人になっているとします。
もし父に弟(自分からみて叔父)がいれば、通常、弟は新たに墓を建てることになります。
そこで、叔父がまだお墓を持っていなければ、自分の家の墓をそのまま使ってもらえるかもしれません。
父に墓の承継者を叔父に指名してもらい、父が他界したのち、墓地の名義を叔父に変更して、そのまま叔父の一家に墓を引き継いでもらいます。
霊園によっては生前のうちに名義変更ができる場合もありますので、相談してみましょう。
なお、この場合、自分は本家の墓に入れない可能性があります。
親族で話し合ってみましょう。
どの親族までならお墓を承継できるかは、墓地の管理規程によります。
友人などの親族ではない人にお墓を譲るのは、墓地の管理規程上かなり厳しいと考えてください。
対処法2:墓じまいする
墓じまいとは、お墓を撤去し、墓地を更地にして管理者に返還することです。
一般的に、墓守がいなくなった場合の対処は墓じまいになります。
墓じまいをするには、様々な関係者に連絡が必要です。
墓じまいの大まかな流れは、以下のようになります。
墓じまいについての詳細は、以下をご覧ください。
参考:墓じまいとは?費用と流れを詳しく解説!トラブル対策も紹介
まとめ
今回の記事では、以下のような内容を紹介しました。
今回の記事のまとめ
- 独身や単身の方のお墓には、永代供養墓がおすすめ
- 永代供養墓には、樹木葬、合葬墓、集合個別墓、納骨堂などがある
- 永代供養墓の他、本家のお墓に入れてもらったり、散骨をしたりという方法もある
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経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。