親のお墓どうする?お墓がない場合・墓じまいする場合

親が亡くなった時に初めてお墓について考える、ということは珍しくありません。
本家で先祖代々の墓がすでにあればそこに納骨できますが、無い場合はどうすればいいでしょうか。
あるいは、すでに親のお墓があるものの、自分の後にお墓の面倒を見る人がいない、という場合はどうすればいいでしょうか。
この記事では、親の供養の選択肢にはどのようなものがあるか、または、自分が今後面倒を見ることができなくなる親のお墓はどうすればいいかについて解説します。
目次
親の遺骨を入れるお墓がない場合
親の遺骨を納骨するためのお墓が無い場合について解説します。
お墓は必ず作らなければいけない?
一般的に遺骨はお墓に入れて供養しますが、一方で、お墓を持たずに供養する方法もあります。
遺骨を供養する方法は、大きく以下のようなものが考えられます。
墓石のお墓を建てる:一般墓

一般墓の費用相場
- 初期費用:100~300万円程度
- 年間管理費:3千~2万円程度
従来のように、墓石を建てて代々引き継いでいくお墓のことを、「一般墓」という言い方をすることがあります。
今後、自分の家族がお墓を引き継いでいける場合は、一般墓を建てても良いでしょう。
一般墓は原則長男家族が引き継いでいくので、代が下るごとに新たにお墓を用意しなくて済むほか、一ヶ所のお参りで代々の先祖を供養できます。
親のお墓を一般墓にしたいという方は、こちらから霊園を探してみてください。
一方、跡継ぎがいない場合は、一般墓を建てることはおすすめしません。
一般墓のお世話をする人がいなくなるとお墓が荒廃し、中に入っている仏は誰にも供養されない無縁仏になってしまいます。
跡継ぎがいない、あるいは、自分が親のお墓を引き継ぎたくない場合は、次に説明する「永代供養墓」を検討しましょう。
墓石以外のお墓を契約する:永代供養墓

永代供養墓の費用相場
- 初期費用:3~150万円程度
- 年間管理費:0~2万円程度
永代供養墓とは、お寺などの墓地の管理者が供養をしてくれるお墓です。承継を前提としないので、跡継ぎがいない方や、子どもにお墓を引き継ぎたくないという方に選ばれています。
永代供養墓の形式として墓石を建てることは珍しく、合祀墓や樹木葬、納骨堂などが永代供養墓として販売されています。
費用相場や年間管理費の有無は、お墓の形式によって幅があります。
合祀墓 | 樹木葬 | 集合個別墓 | 納骨堂 | 永代供養付き墓所 |
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永代供養墓全般の一覧は、こちらからご覧ください。
お墓を持たない:散骨・送骨

費用相場
- 散骨:3~30万円程度
- 送骨:3~15万円程度
お墓を持ちたくないという方は、散骨や送骨での供養がおすすめです。
散骨とは、粉状に砕いた遺骨を自然環境に還す葬法です。遺骨の粉砕から散骨まですべてを業者に委託すると3万円程度から依頼できます。
散骨について詳しくは、こちらをご覧ください。
送骨とは、遺骨を郵送すること、または、遺骨をお寺に郵送してお墓に納骨してもらうサービスのことを言います。
送骨を受付けているお寺では、原則受け取った遺骨を合祀墓に埋葬します。
送骨について詳しくは、こちらをご覧ください。
親のお墓は誰が買う?
親のお墓を用意するにあたって、費用は誰が出すことになるのでしょうか。
お墓の費用負担については規定がない
親のお墓の費用を誰が出すかについては、特に規定はありません。
兄弟や親族と話し合って決めましょう。
生前のうちにお墓を探しているなら親本人が費用を出すことも考えられます。
すでにご遺骨があるようなら、その子どもが用意することが一般的です。
他には、将来的にそのお墓を一緒に使う人が費用を出す、という考え方もあります。
例えば、代々引き継ぐお墓を建てる場合は、長男はいずれそのお墓を使うが次男は使わない、ということが起こるので、長男だけが費用負担をするということもあり得ます。
あるいは、未婚の叔父や叔母が一緒のお墓に入りたいと申し出る場合は、費用負担をお願いしても良いでしょう。
誰も費用を負担したくないときはどうなる?
遺骨の処遇については、「祭祀承継者」に決定権があります。
誰も費用を出したくない場合も、最終的には「祭祀承継者」の責任で遺骨を供養しなければなりません。
「祭祀承継者」とは、その家の祭祀を引き継ぐ人です。長男が祭祀承継者になることが一般的ではありますが、必ずしも長男であるとは限りません。
民法上、祭祀承継者は、次のように決まります。
1.故人(被承継者)の指定
2.指定がなければ慣習に従う
3.慣習も分からなければ家庭裁判所で決める
これに則ると、故人の指定があれば、長男以外が祭祀承継者になることもあり得ます。
また、指定が無い場合も、実際には親族で話し合って祭祀承継者を決めてしまうこともあるようです。
お墓を用意するお金がない時はどうする?
お墓を用意するお金がないけれど協力してくれる兄弟姉妹や親族もいない、という場合は、次のような対応が考えられます。
ローンを利用する
お墓を建てたい場合は、石材店が用意するローンや、各銀行が用意するメモリアルローンを利用できることがあります。
石材店のローンは、用意されていれば、石材工事費に対して利用できます。
ただし、墓地の区画にかかる「永代使用料」には利用できません。
メモリアルローンは、お墓の購入や葬祭などに利用できるローンです。
一部の銀行などで利用できるローンで、原則保証人は不要、借入金は10万円~数百万円程度で利用できます。
安い供養の方法を探す
お金がかからない方法で遺骨を供養するという手段もあります。
お金がかからない供養の方法には、次のようなものがあります。
合葬墓(合祀墓)に入れる


安い所では、1人3万円程度で供養してもらえます。
また、公営墓地の合葬墓では1万円未満で埋葬できる所もあります。
近くの合葬墓を探す >>
散骨する



送骨する


送骨とは遺骨を郵送することですが、お寺に遺骨を送って供養してもらう一連の流れまでを指すこともあります。
送骨について詳しく >>
親を永代供養墓に入れるのは親不孝?
永代供養墓とは、お寺などの墓地管理者が供養を続けてくれるお墓です。
承継を前提とせず、跡継ぎのいない方や、お墓を後に引き継ぎたくない方に選ばれています。
親のお墓を永代供養墓にすることは親不孝なのでしょうか?
これについては、その人その人の考え方によるとしか言いようがありません。
供養で大切なのは気持ちです。親を永代供養墓に入れたとしても、故人を偲び、手を合わせればそれが孝行だとも考えられます。
周りの親族などからは反感を買うかもしれませんが、親不孝かどうかはあくまでもあなたと親の問題です。ご自身が望む供養のあり方を説明して、納得してもらいましょう。
ただし、お墓を生前のうちに決めるとして、親自身が永代供養墓にすることで傷つくようなら、それを強要することは親不孝と言えるかもしれません。
互いに話し合い、納得できる形でお墓を決めることをおすすめします。
自分で継承者がいなくなる場合
すでに親のお墓があるものの、自分の後に承継者がいない場合について解説します。
まずは親族に相談
まずは、今ある親のお墓を引き継いでくれる人がいないか、親族に相談してみます。
例えば、父方の叔父がいればその家族は分家になるため、お墓は新しく持つ必要があります。
そこで、今は親が入っているお墓を使ってもらえないかと相談してみるということも考えられます。
引き継ぐ人がいなければ墓じまいする


お墓を撤去したのち墓所を更地にして返還することを、「墓じまい」と言います。
遺骨の処遇同様、お墓の処遇も「祭祀承継者」が決定します。お墓の名義人がいれば、ほぼその人が祭祀承継者です。
故人の指定がない限り、一般的には、故人の子ども、特に長男が祭祀承継者になるでしょう。
お墓の名義人が「承諾書」を書けば他の人に墓じまいを頼むこともできますが、誰もいなければ名義人が責任をもって墓じまいしなければなりません。
墓じまいの詳細については、こちらをご覧ください。
お墓の承継は放棄できる?
お墓の承継は放棄できません。
民法上、お墓や仏具などは「祭祀財産」とされ、一般的な相続財産とは区別されます。
祭祀財産の承継には行政手続きがないため、当然に承継を放棄するための手続きもありません。
したがって、お墓の承継を放棄することはできません。
親のお墓を放置するとどうなる?


ただし、墓石の撤去にもお金がかかるので、実際には墓地の管理者に経済的な余裕がなく、そのままお墓が放置され続けることも多々あります。
長く放置されたお墓は朽ち、植栽もあれば伸び放題になり、いわゆる「荒れ墓」になります。最悪の場合は墓石が倒れたり植栽の枝や根が張って、近隣のお墓を傷つけたり、お参りに来た人にケガをさせる可能性もあります。
また、お墓を放置することが単に周りに迷惑をかけるだけでなく、もし何かで管理者から連絡が付くと、滞納した管理費を請求されることがあります。
お墓は放置せず、責任を持って墓じまいしましょう。
まとめ
親の遺骨は何らかの形で供養しなければなりませんが、必ずしも墓石のお墓を建てる必要はありません。
最近では合葬墓や樹木葬、納骨堂などの安価で承継しなくても良いお墓も広まっているので、検討してもいいかもしれません。
お墓を持ちたくないという方は、散骨などで供養することもできます。
親のお墓があるものの自分の後に面倒を見る人がいない、あるいは遠方に住んでいて面倒を見ることができない、という場合は、そのまま放置してはいけません。
親族にお墓を引き継いでくれる人がいるか相談し、いなければ墓じまいをしましょう。
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経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。