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お墓を相続したくない・・・承継の拒否はできる?

お墓の相続のイメージ1

お墓を相続した場合、供養や管理を行わなければならない場合があります。
これらを行うためには、時間と費用がかかり、大きな負担となる場合があります。
相続したお墓を兄弟で押し付け合い、トラブルに発展する事例もあります。
お墓の相続について、正しい知識を身に着けることで、負担を軽減できます。
この記事では、お墓の相続について、相続の条件や相続したくない場合などの対処法を解説します。

お墓は誰が相続すべきか

一般的な遺産の相続と、お墓などの祭祀財産の相続の条件は違います。
相続の条件も細かく規定されていて、お墓を相続する場合は墓地の規則にも従う必要があります。
以下では祭祀財産とその相続について解説します。

祭祀財産・祭祀継承者とは

お墓・仏壇・位牌・家系図などの、先祖を祀るために必要な物のことを祭祀財産といいます。
そして、それらを継承する人のことを、祭祀継承者といいます。
相続財産と祭祀財産の違いの一つは、分割して相続できないことです。

そのため祭祀継承者は、全ての祭祀財産の管理を1人で行うことになります。
通常の相続とは分けて考えるため、祭祀財産を相続したからといって、遺産相続の取り分が減るといった心配はありません。

祭祀継承者の決め方

被相続人の指定がある場合は、指定された人が祭祀継承者となります。
被相続人の指定がされていない場合は、地域や一族の慣習に従って決定されます。

地域や一族の慣習が明らかでない場合は、家庭裁判所が決定を行います。
家族の同意がある場合は、他の親族や知人などが祭祀継承者になることもできます。

長男が相続する?次男や娘の場合は?

一般的な慣習では、長男・長女が祭祀継承者となる場合が多いです。
ただし法律上はこのような決まりはなく、親族であれば誰でも祭祀継承者となる可能性があります。
被相続人の指定がない場合は慣習にしたがうとはしつつも、実際には遺族の話し合いで決める場合も多くあります。

墓地の使用規則

法的には誰でも祭祀継承者になることができます。
ただし、お墓を承継する場合には、墓地や霊園ごとの管理規則に従う必要があります。
墓地使用権の承継には条件が設けられている場合があり、以下のようなものがあります。

・3親等までの関係者に限る
・使用者の親族である場合に限る

そのため祭祀継承者を決める前には、必ず墓地や霊園に確認を取る必要があります。
墓地や霊園の規則に反した祭祀継承者を選んでしまうと、お墓の継承ができずに無縁墓となってしまう場合があります。
無縁墓になった場合は、一定期間後にお墓が撤去され、遺骨は無縁仏として合祀されます。

個人墓地の相続について

個人の土地に建てられたお墓のことを個人墓地といいます。
個人墓地は、みなし墓地無許可墓地に分類され、みなし墓地は合法、無許可墓地は違法です。
個人墓地を相続する場合は、行政に許可を得ているのかどうか確認する必要があります。

無許可墓地の場合は「6ヶ月以下の懲役または5千円以下の罰金」の罰則が設定されています。
ただし古くからある無許可墓地は、実質的に墓地として扱われ、違法だからといって実際に罰則を受ける可能性はありません。
自治体によっては、申請することでみなし墓地として認める場合もあります。

法律では、個人墓地の名義人が死亡した場合は、使用許可が失効するとされています。
つまり、個人墓地を相続する場合は、一度廃止してからもう一度許可を得る必要があるということになります。
ただしこれは現実的ではないとされ、手続きや書類を作成する必要もなく、祭祀財産として継承されることが通例です。
この場合でも、名義変更のために自治体への届け出は必要です。
忘れずに行うようにしましょう。

お墓を相続する際の手続きや費用について

お墓や仏壇などの祭祀財産は高価な物が多く、相続税などの心配があるのではないでしょうか。
他にも手続きや、継続してかかる費用などの心配があると思います。
以下ではそれらについて解説をします、参考にしてみてください。

相続税はかかるのか

お墓などの祭祀財産には、相続税などの税金は一切かかりません。
祭祀財産を相続したからといって、通常の遺産相続の税金も変わらないため、税金関係での心配をする必要はありません。

用意すべきもの

お墓を継承する際に必要な書類は、墓地や霊園によって異なります。
一般的には、永代使用許可証・墓地使用許可証と、祭祀継承者であることが証明できる書類などが必要とされます。
お墓を継承する場合は、必ず名義変更を行う必要があるので、墓地や霊園にその旨を連絡し、必要な書類の確認も行いましょう。

手数料について

名義変更の際に、手数料の支払いを行います。
金額は墓地や霊園によって様々です。

・公営墓地の場合は1500円~5000円程度
・民営墓地の場合は数千円~数万円程度
・寺院墓地の場合は手数料とは別にお布施を包む場合がある

特に寺院墓地の場合は、お布施も含めると高額になる場合があるため、事前の確認が必要です。

管理費について

お墓の管理費は、年間数千円~1万円程度が相場です。
管理費を滞納すると、お墓が撤去され、故人の遺骨は無縁仏として供養される場合があるので注意が必要です。

お墓の相続をしたくない場合

お墓を相続すると、金銭や時間を消費し、負担となる場合があります。
そのため被相続人の指定や、慣習によって祭祀継承者に指定されたとしても、お墓を相続したくない場合があるのではないでしょうか。
以下では、負担を減らしたい場合に役立つ情報を解説します。

お墓の相続拒否はできるのか

お墓の相続拒否は、残念ながらできません。
通常の遺産相続であれば、権利を放棄することができます。
しかし祭祀財産は相続財産とは違い、権利を放棄するための規定が存在しません。

極端な例でいうと、物心ついたころから海外で生活をしていて、故人とはほとんど面識がなく、帰国してからは実家とは遠方に住んでいるためお墓の管理はできない。
このような場合でも、継承者に指定されてしまったら受け入れるしか方法はありません。

名義変更をせずに放置した場合

祭祀継承者になってもお墓を相続したくない、しかし権利の放棄はできない。
このような場合、強行策として名義変更をしないという選択を取る方もいるかもしれません。

お墓の名義変更をせずに放置した場合、お墓は無縁墓として、墓地管理者に撤去されてしまいます。
遺骨は破棄するようなことはなく、他の無縁仏と一緒に合祀されます。

仕方ない理由があって合祀を選択する場合もありますが、放置した結果に親族の供養もないまま合祀されるのは、あまり気持ちのいいものではないと思います。
また、名義変更を行わない場合でも、管理費やお墓の撤去にかかった費用を請求される場合もあります。

このような理由で、名義変更をせず放置することはおすすめできません。

お墓の管理が出来ない場合:墓じまいについて

お墓の管理ができない場合、最適なのは墓じまいです。
墓じまいとは、お墓を撤去した後に更地に戻し、土地の所有者に返還することです。
祭祀継承権の放棄はできませんが、継承した後に法事や墓参りなどを行わなければならない義務はありません。
また、祭祀継承者は、祭祀財産を自由に処分・売却できる権利があります。
墓じまいをすることで、継承するお墓をなくし、その後の負担はなくなります。

墓じまい後の遺骨の改葬先について

お墓を撤去し、更地に戻せば墓じまいはできますが、遺骨をそのままにするわけにはいきません。
遺骨を改めて埋葬する改葬を行うか、他の供養方法を行う必要があります。
代表的な方法を紹介します。

寺院や霊園に任せる

ほとんど場合、寺院や霊園には無縁仏を合祀するお墓が併設されています。
これはやむを得ない理由で、強制的に墓じまいされた遺骨が埋葬されるための物です。
依頼をすれば、そこに合祀してもらうことができる場合があります。

樹木葬などの永代供養

永代供養を行うと、契約した墓地や霊園が続く限り、管理するお寺が責任をもって遺骨の管理と供養を行ってくれます。
ご自身で供養と管理を行う必要がないため、永代供養後の負担はありません。

散骨などの自然葬

遺骨を細かく砕いて、山や海に撒くことを散骨といいます。
散骨を行った場合は、お墓やそれに相当する物を建てることはありません。
そのため法事やお墓の管理を行う必要がなく、葬送後の負担が軽減されます。

散骨を行える場所は様々ですが、観光地や人目につく場所で散骨を行うことはできません。
散骨後に土をかぶせてしまうと、埋葬扱いになり違法です。
散骨を行う前に、必ず土地の所有者に許可を取る必要があります。

手元供養

遺骨の保管を自宅で行う場合や、身に着けて供養する方法を手元供養といいます。

自宅で遺骨を保管する場合は、骨壺などに遺骨を入れて保管します。
遺骨を身に着けて供養する場合は、ペンダントなどアクセサリー型の容器に遺骨を入れ身に着けます。

この場合もお墓を建てることはないため、その後の負担が軽減されます。

まとめ

お墓や仏壇など、先祖を祀るために必要な物のことを祭祀財産といいます。
それらを継承する人の事を、祭祀継承者といいます。
祭祀財産を分割して相続することはできず、祭祀継承者1人で相続することになります。
祭祀財産には相続税はかかりません。
被相続人の指定があれば指定された人が、指定がなければ慣習に従って、慣習が明らかでない場合は家庭裁判所が祭祀継承者を決定します。
お墓を相続する場合にかかる費用は、手数料と年間の管理費です。
お墓の相続をしたくない場合でも、相続拒否をすることはできません。
墓じまいを行うことで、その後の負担を軽減できます。
墓じまい後は、遺骨を改葬する必要があります。
遺骨の代表的な改葬方法は、以下のようなものがあります。

・寺院に任せる
・樹木葬などの永代供養
・散骨
・手元供養

以上、お墓の相続についての解説でした