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個人墓地とは?家の敷地にあるお墓は許可をもらってる?

個人墓地のイメージ1

昔ながらのお墓では、家の敷地の中に一つか数個のお墓だけ建てられているような場合があります。
こうした個人の土地にある墓地のことを「個人墓地」と言います。

個人墓地は他の団体が管理する墓地とは扱いが少し異なります。
個人墓地のお墓に新たに納骨してもいいのか、お墓を移したい場合はどうするかなど、いざ使おうとすると色々な疑問が出てきます。

今回の記事では、個人墓地に関する疑問を解決していきます。

1.個人墓地とは何か?

墓地の名義が団体ではなく個人になっている墓地を、個人墓地と言います。
家の庭や裏山に1つまたは数個のお墓がぽつねんと建てられていれば、おそらくそれは個人墓地です。

この他、墓地の種類には、運営・管理の主体によって分類されます。
運営・管理の主体が地方自治体であれば「公営墓地」、お寺であれば「寺院墓地」、民間企業であれば「民営霊園」、地域や集落であれば「共同墓地」となります。

2.家の敷地にあるお墓は合法?違法?

それでは、個人で墓地を持つということは法律上許されているのでしょうか。

もし違法な状態の墓地となると、罰則も考えられます。
加えて、納骨や改葬の際に手続きができないなどの弊害が生まれます。

ここでは、個人墓地の合法性について解説します。

2-1.みなし墓地と無許可墓地

現状、個人墓地のほとんどは、「みなし墓地」または「無許可墓地」に分類されます。
「みなし墓地」であれば合法、「無許可墓地」であれば違法な墓地です。

お墓に関する法律については、昭和23年に発行された「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)で定められました。

これによると、墓地については以下のように記述されています。

5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。

つまり、墓地を経営するためには、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
ですが、この法律が施行される前から各地域に墓地はありました。

「みなし墓地」とは、墓埋法が施工される以前から存在している墓地のうち、以前から行政の許可を受けていたものを言います。
みなし墓地については、墓埋法で以下のように記載されています。

第26条 この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす。

これに対して「無許可墓地」とは、墓埋法の施工以前、以後にかかわらず、行政の許可を受けずに運営されている墓地を言います。
法律を知らずに家の庭にお墓を作ってしまったという場合はもちろん無許可墓地になります。
加えて、かなり昔から代々家にお墓があったけれど、行政の許可は受けていなかったという場合も無許可墓地になってしまします。

2-2.個人墓地が許可を受けているかの確認方法

それでは、自分のうちにある個人墓地が合法であるか、違法であるかを確認するにはどうしたらいいでしょうか。

個人墓地の経営が許可されているかどうかを確認するには、市区町村の役所に直接確認することが最も適切で迅速な方法と言えます。
墓地台帳に土地が記載されていれば、それは行政の許可を受けている墓地です。

2-3.無許可墓地だった場合はどうする?

それでは、家の敷地にある墓地が無許可であることが分かったらどうすればいいでしょうか。

法律上、無許可の墓地経営には「6箇月以下の懲役又は5千円以下の罰金」の罰則があります。
墓埋法では以下のように記載されています。

第20条 左の各号の一に該当する者は、これを6箇月以下の懲役又は5千円以下の罰金に処する。
一 第10条の規定に違反した者

第10条 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

ですが、墓埋法の施工以前からある墓地については、現実的に罰則が課せられることはないでしょう。
実際には無許可墓地であっても、ずっと昔からあったという理由で、墓地台帳に記載がなくても墓地として扱われているところも全国にはたくさんあります。
そういった無許可墓地が墓埋法に違反するからといって、改葬して更地にするなどということは現実にはできないので、行政としても大目に見ているというのが実情のようです。

自治体によっては「みなし許可に係る届出」などの書類をすることで、墓地埋葬法の26条にもとづく正式な「みなし墓地」として認めてくれるところもあるようです。
みなし許可に係る届出をする場合は、昭和23年の墓地埋葬法が制定される以前からそこにお墓があったということの証拠を提示しなければなりません。
古い寺院などであれば、檀家名簿などの過去の資料が残っていると思われるので、そういったものがあれば、もともとそこにお墓があったということを客観的に証明できることになります。

ただし、墓埋法施工以降に、法律を知らずに自作で墓を作ってしまった場合は、罰則が科せられます。
なお、法律上「墳墓」(お墓)は、「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設」を言いますので、遺骨を埋葬せずに、墓碑だけ建てる場合は法律に違反しません。

3.個人墓地を新たに作ることはできる?

利便性や寂しさから、家の敷地に故人のお墓を作りたいと考える人もいるかもしれません。

新たに墓地を作る場合は、個人の場合でも行政の許可を受ける必要があります。
個人墓地の開設許可は出してもらえるのでしょうか。

3-1.原則個人墓地の開設許可は出ない

現状では、新たに個人墓地を作ることは認めらないのが原則です。

墓地の経営主体については、厚生労働省の「墓地経営・管理の指針等について」によって以下のように指導されています。

(2)墓地経営主体
墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られること。

つまり、基本は地方自治体が墓地を運営して、それができなければお寺などの宗教法人公益法人が運営することとされています。
個人墓地はどちらにも該当しないため、新たに作ることはできせん。

なお、地方自治体が運営する墓地を「公営墓地」、お寺が運営する寺院を「寺院墓地」と言います。
石材店などの民間企業が運営している「民営霊園」の場合も名目上の経営主体は寺院などの宗教法人になっています。
また、地方や集落で管理している「共同墓地」は個人墓地と同様ほとんどがみなし墓地のため、地域住民で墓地を新たに作るということはできません。

3-2.個人墓地の例外

個人墓地が例外的に認められる場合があります。
それは、山間部などの人里離れた場所で墓地が全くないなどの事情があれば、個人墓地も認めるとするものです。

これについては、昭和二一年九月三日 発警第八五号「墓地の新設に関する件」で以下のように通知されました。

山間等人里遠く離れた場合で、墓地の設け全く無く新設の必要ある場合は個人に許可するも支障ないこと。

逆に言えば、こういったかなり特殊な事情がない限りは、個人の自宅に墓地を作るということはできません。

4.個人墓地に新たに納骨することはできる?

すでにご紹介したように新しく個人墓地を作ることは現実的にできません。
では、すでにある個人墓地に納骨だけをすることはできるのでしょうか。

4-1.無許可墓地でなければOK

個人墓地が行政の許可を受けているみなし墓地であれば納骨ができます。

納骨については、墓埋法で以下のように記載されています。

第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。

逆に言えば、墓地であれば遺体の埋葬や焼骨の埋蔵、つまり納骨をしてもOKということになります。
墓地とは、もちろん行政の許可を受けているものを言います。

行政の許可を受けていれば個人墓地も合法的な墓地ですから、納骨しても問題ありません。

4-2.無許可墓地だった場合はどうする

個人墓地が無許可墓地だった場合は、法律上正式な墓地として扱われないため、納骨できません。
納骨したい場合は、先述の通り市町村の役所で、みなし墓地として認めてくれるかの相談をしましょう。

それが難しいようであれば、他のみなし墓地か、墓埋法制定以降に許可を受けた墓地に納骨するしかありません。

5.個人墓地を改葬・廃止するには

改葬とは、お墓を引っ越すことを言います。
個人墓地を他に移す場合、特別な手続きは必要になるのでしょうか。

5-1.個人墓地の管理者が分かっている場合

改葬手続きには、墓地管理者に許可をもらう必要があります。
管理者たる個人が分かっている場合は問題なく改葬手続きができます。

役所から「改葬許可申請書」を入手し、墓地管理者に署名・捺印してもらって、再度役所に提出しましょう。
自治体によっては、署名捺印の代わりに墓地管理者が発行する「埋葬証明書」が必要になることもあります。
改葬許可申請書が受理されると、「改葬許可証」が発行されるので、遺骨を移動できるようになります。

改葬の際には、あらかじめ新しいお墓を決めておきましょう。
改葬許可申請の際に、改葬先の「受入れ証明書」が必要になる場合もあります。

加えて、墓碑と遺骨の移動の他、「墓地」を廃止する場合は、墓地の廃止届も役所に提出する必要があります。

5-2.個人墓地の管理者が分からない場合

先述の通り、改葬許可を申請するには、墓地管理者の許可が必要です。

管理者が分からない場合は、役所に行って墓地台帳を確認してもらいましょう。
墓地の管理者が記載されています。

また、管理者が死亡している場合や無許可墓地のため管理者がいないことも考えられます。
この場合もやはり役所と相談しながら、改葬許可と墓地の廃止手続きを進めていくほかないでしょう。

6.個人墓地は相続できるか

個人墓地を相続するにはどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、個人墓地の相続について見ていきます。

6-1.個人墓地は祭祀財産として相続される

個人墓地は、祭祀財産として相続されると考えていいでしょう。

祭祀財産とは先祖を祀るために使用されるもの全般を指し、お墓の他、仏具や仏壇、位牌なども含まれます。
祭祀財産は、一般的な相続財産とは扱いが異なります。
特徴としては、相続税がかからないこと、分割せずに一人で承継すること、役所などでの行政手続きを経ずに自動的に相続されることなどが含まれます。

なお、原則、個人墓地の名義人が死亡した場合は、許可が失効して墓地の廃止許可処分が行われるとされています。
この原則を適用した場合、一度墓地を廃止してから、相続人が再び墓地の経営許可を得ないと相続できないことになります。
しかし、そもそも承継する前の使用者が誰だったのかが分か珍しくない上、手続きするための書類もありません。
そのため、現実的には祭祀財産の相続として扱われるのが現実的とされています。

参考:平成28年度厚労科研費研究に伴う「墓地の経営・管理に関するFAQ」Q1.[現行法施行前に許可された個人墓地の取り扱い]に関する質問

6-2.自治体への届け出は必要

個人墓地が祭祀財産とするなら、相続自体に手続きは必要ありません。
ただし、墓地の名義を変更してもらう必要があるため、やはり個人墓地を相続した場合は、役所に行って墓地台帳の記載を変更してもらいましょう。
そのため、相続した場合は自治体に相続したことを届け出る必要があります。

7.個人墓地は売買できるか

個人墓地の売買をすることは可能なのでしょうか。

7-1.所有権登記を行なっていれば可能

結論から言えば、個人墓地の売買は所有権登記を行なっていれば可能です。
個人墓地を売る場合には、所有権登記を行なっているか確認するようにしましょう。

7-2.個人墓地を売買するには複雑な手続きが必要

個人墓地を売買することは可能ですが、複雑な手続きが必要になり、また自治体によっても扱いが異なってきます。
事前に、市区町村の役所にどのような手続きが必要なのかを確認しておきましょう。

8.まとめ

以上、個人墓地について様々な角度からご紹介してきました。
ご紹介してきたように、個人墓地はその扱いが難しいものと言えます。
個人墓地の扱いについては、市区町村の役所に確認することが最も適切で迅速な方法になります。
この記事が、個人墓地をお持ちの方で、その扱いにお困りの方の少しでも参考になれば幸いです。