寺院墓地とは?基礎知識・メリット・デメリットを解説

寺院墓地とは?基礎知識・メリット・デメリットを解説

お墓といえば、お寺にあるというイメージの方も多いのではないでしょうか。
寺院墓地は、お寺が宗教活動を目的として設ける墓地です。
近年では、公園風のいわゆる「霊園」も増えており、寺院墓地とどちらが良いのかを迷ってる方もいるかも知れません。

今回の記事では、寺院墓地はどんな場所なのか、メリットとデメリットもあわせてお伝えします。

記事のポイント

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    寺院墓地とは、寺院が宗教活動を目的として、主に檀家のために設置している墓地です。

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    原則、お寺の宗派に帰属し、檀家になる必要があります。

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    檀家とは、仏事全般をお寺にお願いする代わりに、経済的にお寺を支える家のことを言います。

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    檀家の義務が負担に感じる方もいますが、供養の依頼先に困らず、新たに地域や人との繋がりを持てることもあります。

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寺院墓地とは

寺院墓地とは、寺院が宗教活動を目的として、主に檀家のために設置している墓地です。一般的には寺院の境内にあります。

檀家とは

檀家とは、あるお寺に帰属し、葬儀や法要などの仏事全般のお世話をお願いする代わりに、経済的にお寺を支える家のことです。浄土真宗では「門徒」といいます。
家が帰属しているお寺を、菩提寺と言います。
檀家に求められることはお寺によって異なりますが、基本的には、葬儀や回忌法要は必ず菩提寺に依頼することになります。他にも、お盆やお彼岸の合同法要への参加が必須であったり、本堂の修繕など、都度の寄付をお願いされることもあります。

寺院墓地の特徴

寺院墓地は、お寺が宗教活動として運営しているという性質上、宗教の制限や独特のルールなどがあります。

寺院墓地の特徴

  • 原則檀家になって利用する
  • 葬儀や法要などの仏事をお任せできる
  • 葬儀や戒名を菩提寺に頼まないと納骨できないことがある
  • 「永代供養墓」では宗教の制限が少ない傾向

原則檀家になって利用する

寺院墓地は、基本的には檀家が利用する墓地です。
無宗教、あるいは他宗派・他宗教の人が寺院墓地を利用するには、そのお寺の宗派に改宗し、檀家になることが一般的です。
ただし、樹木葬や納骨堂など、墓石を建てないお墓であれば、宗教・宗派を問わず利用できるものも多くあります。

葬儀や法要などの仏事をお任せできる

葬儀や回忌法要など、仏事のことをすぐに相談できます。
菩提寺の付き合いがない家では、仏事の際にお坊さんをどう呼べばいいかが一つ悩みになりますが、日頃からお寺との付き合いがあれば、その心配もありません。

葬儀や戒名を菩提寺に頼まないと納骨できないことがある

お寺によりますが、故人の葬儀・戒名をお墓のある菩提寺に依頼していないと、納骨できない場合があります。
納骨のために改めて菩提寺で葬儀をして戒名をもらうということにもなりかねないので、事前に確認しておきましょう。

「永代供養墓」では宗教の制限が少ない傾向

寺院墓地では、従来のような墓石のお墓だけでなく、樹木葬や納骨堂、合祀墓など、承継を前提としないお墓を用意していることもあります。
いわゆるこうした「永代供養墓」では、宗派不問、あるいは宗教不問とするお寺も比較的多く見られます。

寺院墓地のメリット

寺院墓地のメリット

  • 仏事全般の相談先に困らない
  • 生活の場に近い立地に多い
  • お寺を通して人との繋がりを持てることがある

仏事全般の相談先に困らない

葬儀や回忌法要、納骨法要など、仏事全般の相談先が決まっており、都度供養してもらうお寺を探す必要がありません。
基本的には本堂や客殿もあるので、境内の中で法事とお墓参りが完結できることも少なくありません。

生活の場に近い立地に多い

お寺は、街中や住宅街などの、生活の場に近い立地にも多くあります。
郊外の民営霊園などと比べると、気軽に立ち寄りやすく、電車やバスで行きやすい墓地も探しやすいでしょう。

お寺を通して人との繋がりを持てることがある

お寺の方針にもよりますが、仏事以外にも、生活のお悩み事などを住職に聞いてもらえるお寺や、檀家同士の集まりや交流があるお寺などもあります。また、カフェや音楽会を開くなど、檀家に限らず地域の人達が交流できるような試みをしているお寺もあります。
お寺にお墓を持つことをきっかけに、新しい人との繋がりが持てるかもしれません。
興味がある方は、見学のときにお寺での人との交流の様子を聞いてみると良いでしょう。

寺院墓地のデメリット

寺院墓地のデメリット

  • 檀家としての義務を負担に感じる可能性がある
  • 宗教が違う親族同士の納骨が難しい
  • デザイン度の自由度が相対的に低い

檀家としての義務を負担に感じる可能性がある

お寺の檀家になると、仏事全般をお寺に頼むことはほぼ必須になります。
葬儀や戒名のお布施が高かったり、回忌法要や合同法要の回数が増えたりすると、費用や時間の面で負担に感じてくるかもしれません。
また、お寺によっては毎年、あるいは都度の寄付をお願いされることもあります。
檀家になったらどんな義務が発生するのかは、見学の際などに確認しておきましょう。

宗教が違う親族同士の納骨が難しい

寺院墓地に納骨するには、基本的にはそのお寺の宗派に所属している必要があるので、家族に違う宗教・宗派の方がいると、納骨できないことがあります。
ただし、永代供養墓をはじめとした一部のお墓では、受け入れることもあります。

デザインの自由度は低い傾向

お寺によりますが、墓石の形や石種、彫刻などは、制限されていることも多くあります。
個性的なお墓を建てたい方は、民営霊園や公営霊園の方がおすすめです。

寺院墓地と他の霊園との違い

墓地や霊園には、寺院墓地の他にも種類があります。
ここでは、代表的な「公営霊園」と「民営霊園」との違いを紹介します。

公営霊園と寺院墓地の違い

公営霊園とは、自治体が経営主体となっている霊園です。
「〇〇市立△△霊園」「〇〇町営△△霊園」のような名称が多いでしょう。

公営霊園は、寺院墓地と比べて次のような特徴があります。

寺院墓地と比べたときの公営墓地の特徴

  • 倒産や廃寺の心配がない
  • 宗教の制限がない
  • 経営主体である自治体が供養を手配することはない
  • ほとんどの場合で石材店は自由に選ぶことができる
  • 抽選や申込み要件などで使用者が限られることが多い

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倒産や廃寺の心配がない

自治体が経営主体となってい倒産や廃寺などの心配がなく、永続性の観点で安心です。

宗教の制限がない

自治体は特定の宗教を選べないので、宗教を問わず利用できます。

経営主体である自治体が供養を手配することはない

使用者の宗教は問わない一方で、自治体が特定の宗教の様式で追悼することもできません。
「供養」は「仏教」の概念なので、自治体が僧侶を手配して合同法要などを行うということもありません。

ほとんどの場合で石材店は自由に選ぶことができる

寺院墓地では出入りできる業者が決まっていることがありますが、公営霊園ではほとんどの場合でどの石材店でも出入りすることができ、自由に選ぶことができます。墓石を建てる際に複数社から見積もりを取る「相見積もり」もできます。

抽選や申込み要件などで使用者が限られることが多い

公営霊園では、使用者の募集期間を限定して設けていることが一般的です。
人気の霊園では募集のたびに抽選が行われ、申し込んでも使用できないこともあります。
また、募集にあたっては居住地や遺骨の有無などの要件が設けられることが多く、誰でも使用できるとは限りません。

民営霊園と寺院墓地の違い

民営霊園とは、宗教法人や公益法人が、公益事業のために設置している霊園です。
実際の管理は、石材店や管理会社などの民間企業が担っていることが一般的です。

民営霊園は、寺院墓地と比べて次のような特徴があります。

寺院墓地と比べたときの民営霊園の特徴

  • 宗教の制限が少ない
  • 施設やサービスが充実している
  • お墓のデザインの自由度が高い
  • ほとんどの場合で「指定石材店」がある
  • 明るい景観の霊園が多い

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宗教の制限が少ない

寺院墓地と比べると、宗教不問、宗派不問の霊園が多くあります。
ただし、「在来仏教に限る」「神道と仏教に限る」などの制限がつく場合もあります。
特に、在来仏教でない方は、問い合わせや見学の際に確認しておきましょう。

施設やサービスが充実している

民営霊園の管理は民間企業が担っていることがほとんどで、施設やサービスが充実している傾向にあります。
例えば、バリアフリー対応や管理棟、法要施設を完備するところは少なくありません。
この他、ドッグランやカフェ、ラウンジなどを併設していることもありなど、霊園によって特色は様々です。

お墓のデザインの自由度が高い

民営霊園自体が宗教色の少ない自由な雰囲気で、お墓をお好みでデザインできる「自由区画」も探しやすいでしょう。
特に民営霊園で多く見られる洋型墓石では、和型墓石に比べると格段に彫刻の自由度が上がります。
「心」「感謝」などの少ない文字数を刻んでも様になりますし、花などのイラストを彫刻しても違和感がありません。

ほとんどの場合で「指定石材店」がある

民営霊園では石材店が管理または出資していることが多く、ほとんどの場合で霊園に出入りできる石材店(指定石材店)が決まっています。
なお、寺院墓地では、指定石材店があるところも無いところもあります。
指定石材店が複数社いる場合でも、民営霊園では見学に行ったときに石材店が案内することが多く、それ以降は他の石材店に乗り換えができません。
石材店から選びたい場合は、希望する民営霊園に入っている石材店を調べてから、石材店に直接連絡して見学予約をする必要があります。

明るい景観の霊園が多い

基本的に民営霊園の雰囲気は明るく、植栽にこだわるガーデニング霊園や、景観にこだわる郊外型霊園などは顕著です。
「暗い」「怖い」という従来の墓地のイメージを刷新するような公園風の設計がなされることが多く、明るい雰囲気の場所で眠りたいという方にはおすすめです。

まとめ

寺院墓地とは、寺院が宗教活動を目的として、主に檀家のために設置する墓地です。
基本的に、寺院墓地を使用するには、お寺の宗派に帰属し、檀家になる必要があります。ただし、最近では「永代供養墓」を筆頭に、宗教の制限が少ないお寺のお墓も見つけられます。
檀家の義務やお寺との付き合いが煩わしく感じる方もいますが、寺院墓地では供養や仏事の依頼先に困らず、お寺に行くようになれば、住職や檀家同士、あるいは地域との方など、新たに人との繋がりを持つきっかけにもなり得ます。

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