
納骨堂と永代供養の違いを分かりやすく解説!費用はどれくらい?
新しいお墓のスタイルとして注目されている「納骨堂」ですが、一口に納骨堂と言っても様々な種類があります。
種類によって納骨できる人数や費用相場が違うため、納骨堂の種類を知っておくことは大切です。
この記事では、納骨堂の種類ごとの特徴や費用など、お墓選びの参考になる情報をお届けします。
記事のポイント
納骨堂は、屋内に遺骨を安置する施設のこと
近年では承継不要のお墓として利用する人が増えている
価格帯は幅広く、10万円前後の区画もあれば200万円以上の区画もある
屋内にあるので大掛かりな掃除は不要で、気軽にお参りができる
目次
納骨堂とは、屋内に遺骨を安置する施設のことです。もともとは遺骨の一時預かり施設としての役割を担っていましたが、最近では承継不要の「永代供養墓」の一つとして、広く定着しています。
「墓地、埋葬に関する法律」によれば、納骨堂は「他人の委託を受け焼骨を収蔵するために納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」と定義されています。
(参考:厚生労働省 墓地、埋葬等に関する法律)
永代供養とは、家族や親族に代わってお寺などの墓地管理者が故人を将来にわたって供養してくれることを言います。
「永代供養」がいわばシステムを指すのに対して、「納骨堂」は「屋内に遺骨を安置する施設」というお墓の形態を指します。
多くの納骨堂には永代供養がついていますが、永代供養が付いていない納骨堂もあります。
また、永代供養が付いている、納骨堂ではないお墓ももちろんあります。
永代供養をしてもらえるお墓は、「永代供養墓」と呼ばれています。
納骨堂と他の永代供養墓の違いを、簡単に解説します。
納骨堂と一般墓(従来のような墓石のお墓)の違いには、次のような点が挙げられます。
納骨堂と墓石のお墓(一般墓)の違い
墓石のお墓は原則代第引き継いで行くことを前提とするのに対し、納骨堂は多くの場合で永代供養がついているので、承継者がいなくても安心してお墓を持てます。
また、納骨堂は墓石のお墓と違い屋内にあるので、草むしりや水をかけて掃除するということも不要です。
お参りの仕方は納骨堂によりますが、墓石のお墓と比べると制約が多い傾向にあり、火気が使用できない、個別にお供えができないので共用の供物台を使用する、というところもあります。
2023年にお墓さがしが実施した「お墓選びの実態調査(2023年)」では、実際に納骨堂を購入した方の購入金額の平均は、84.5万円という結果になりました。
納骨堂の価格帯は幅広く、個人区画であれば10万~20万円程度で購入できる所もありますが、大人数用の区画では200万円以上で販売されている所もあります。
また、この他に年間管理料がかかることもあります。
納骨堂の費用は、形式や使用人数、個別区画の使用期間、設備などによって変わります。
納骨堂には、大きく分けて「ロッカー式」「自動搬送式(マンション型)」「仏壇式」「位牌式」「棚式」「屋内に墓石を建てるタイプ」の6つがあります。
それぞれの特徴について解説していきます。
納骨堂のメリットには、以下のようなものが挙げられます。
現在では、多くの納骨堂に永代供養がついているので、承継者がいなくても安心して使用できます。
永代供養とは、お寺などのお墓の管理者が故人の供養を続けてくれる仕組みです。
供養は、お盆やお彼岸などの年に1~数回の合同法要をもって行われます。
一般的なお墓のように定期的な掃除や草刈りなども不要で、気軽にお墓を持つことができます。
納骨堂は屋内のお墓なので、季節や天候を問わないでお墓参りに行くことができます。
特に積雪する地域では、冬期にお参りできないことも珍しくありませんが、納骨堂だと年中お参りに行けます。
納骨堂は限られた広さの土地やお寺の内部に造ることができるので、街中に多くあります。
電車やバスでもアクセスしやすいでしょう。
特に都心の自動搬送式納骨堂は駅から歩いて数分の立地にあることも多く、気軽にお参りできます。
納骨堂の中でも区画を選べば、一般的なお墓かそれ以上の人数を納骨できます。
大人数を納骨したい方は、自動搬送式納骨堂や仏壇式納骨堂から探してみましょう。
また、大人数を納骨できる区画は、承継が認められていることも少なくありません。
将来的に承継が途絶えるか分からない、承継はするけど屋内のお墓が良いという方には、納骨堂がおすすめです。
納骨堂のデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
永代供養墓にはいろいろな種類のお墓がありますが、納骨堂はその中でも費用が高めです。
また、建物のメンテナンスや清掃も必要なので、年間管理費も高めに設定される傾向があります。
費用の安さだけで言えば合葬墓(合祀墓)、個別で供養できる永代供養墓なら樹木葬などの方が、費用を抑えられます。
納骨堂は街中などのアクセス便利な立地に多い反面、都心では専用の駐車場を設けていないことも珍しくありません。
駐車場がなければ近くのパーキングを利用することになり、普段から車に乗る方は不便と感じるかもしれません。
車でお参りに行きたい場合は、駐車場の有無を確認しながら納骨堂を選びましょう。
納骨堂では、最初は個別区画に骨壺が安置されますが、最終的には遺骨は合祀墓に埋葬されることが一般的です。
合祀墓とは一つの納骨室に不特定多数の遺骨を埋葬して供養するお墓です。
多くの納骨堂では、最初に定められた期間(契約から50年、最後の納骨から13年など)が経過するか、または承継が途絶えて年間管理費の支払いができなくなると、遺骨を合祀墓に移します。
将来にわたって合祀されたくないという方は納骨堂にこだわらず、「永代個別」などと表記されているお墓から探しましょう。
仏壇式納骨堂を除いては、納骨堂ではお参りスペースが他の家族と共用になります。
お盆やお彼岸などの混雑期になると、お参りのために順番待ちになることがあります。
納骨堂の運営主体には、大きく分けて「お寺」「法人(民間)」「自治体」があります。
では、納骨堂の運営主体によって、どのような違いがあるのでしょうか。
納骨堂の経営主体としてまず考えられるのはお寺です。多くの納骨堂は、お寺の境内にあります。
もともと納骨堂は、お寺が災害などで管理が困難になったお墓の遺骨や、引き取り手のいない遺骨を境内で収蔵するようになったのが始まりといわれています。
お寺と言っても、納骨堂の場合は宗教や宗派の制限が緩いことが多く、宗派の決まりや檀家の付き合いが気になる方も、それほど身構える必要はありません。
ただし、永代供養の方法は納骨堂を運営するお寺の宗派に則ったものになります。
自分と同じ宗派で供養してほしい方は、契約前にお寺の宗派を調べましょう。
宗教法人や公益社団、財団法人などの公益性をもつ法人が運営をしている納骨堂もあります。お寺の納骨堂と比べると、数は多くありません。
このタイプの納骨堂は、多くの場合、管理や販売を民間業者が行っています。
民間の納骨堂は、宗教・宗派に関係なく利用できます。
民間業者が運営に関わっているので、施設やサービスが充実しているところが多いという特徴があります。
自治体の納骨堂は、基本的には従来のような「遺骨の一時預かり」を前提に募集されています。
お寺や民営の納骨堂では一定期間後に遺骨を合祀墓に移して供養しますが、自治体の納骨堂では期限後は遺族に返還することが一般的です。
永代供養墓としての納骨堂を考えている場合は、自治体の納骨堂は適切ではないかもしれません。
ただし、期限後は園内にある合葬墓に移動してもらえる場合もあるので、申し込む前に確認しておきましょう。
また、自治体の納骨堂には居住地などの要件が設けられていたり、抽選があったりするなど、誰でもいつでも申し込めるわけではありません。
人気の納骨堂は抽選に受かることが難しく、例えば、都立多磨霊園内にある納骨堂「みたま堂」の令和4年度の公募では、募集数62に対し、905もの応募が殺到し、倍率は14.6倍でした。
参考:令和4年度 都立霊園公募受付状況と抽選会について
一方、自治体の納骨堂は費用が安い、経営主体の倒産などの心配がない、などの長所もあります。
納骨堂を選ぶときは、以下の点に注意しましょう。
納骨堂を選ぶ際の注意点
納骨堂はいずれ形式でも、区画に使用期限を設けていることがほとんどです。
期限は、契約日から50年間、最後の納骨から13回忌、年間管理料の支払が途絶えるまで、など場所や区画によって異なります。
期限を過ぎると、遺骨は個別区画から出され、不特定多数の遺骨を一緒くたに埋葬する「合葬墓」に移動されます。
将来的に誰を納骨することになるのかも加味しながら、どれくらいの期間区画を使用したいのか考えてみましょう。
手入れの様子や施設の使いやすさ、住職やスタッフの雰囲気など、現地に行かないと分からないことはたくさんあります。契約は必ず現地に行った後で結びましょう。
また見学の際は、お参りをする場合の実際の交通手段を使い、最寄り駅からのアクセスや駐車場の様子なども確認しておくことをおすすめします。
公営墓地にも納骨堂を設置していることがありますが、一般のお墓の区画同様、使用者は抽選で絞られることがあります。
納骨堂の使用者は自治体がHPや広報誌で公表される期間に募集され、希望者が多ければ抽選で決定します。
また、応募には居住地や遺骨の有無などの要件が課されることがある点にも注意しましょう。
よくあるというわけではありませんが、納骨堂の利用で管理者とトラブルになることがあります。
例えば、以下のようなことがあり得ます。
納骨堂のトラブルの例
これらのトラブルを防ぐには、まずは実際に現地に行くことが重要です。
スタッフや住職の人柄はどうか、手入れや清掃はきちんとされているか、お参りはどのようにするのかなどを、確認しましょう。
万が一トラブルが起こってしまったら、納骨堂がある自治体の役所や、国民生活センターに相談しましょう。
納骨堂のお参りでは、これまでのような墓石のお墓とは異なり、草むしりや水をかけて墓石を磨くということはしません。
お供えの方法は納骨堂の形式や場所によって異なり、区画ごとにお供えできる所、共用の供物台でお供えする所、火気を使わず電気香炉を使用する所など、様々です。
これから納骨堂の購入を検討している方は、実際に現地に行ってお参りがどうなるかも確認しておくと良いでしょう。
遺骨の一時預かりをしてもらえる納骨堂もありますし、してもらえない納骨堂もあります。
また、納骨堂に限らず墓石のお墓をメインとする霊園や墓地でも遺骨の一時預かりをしてもらえるところもあります。
もし、「納骨先が決まっているけど納骨まで預かってほしい」という方は、契約している納骨堂や墓地に、預かってもらえないか相談しましょう。
「納骨先が決まるまで預けたい」という方は、「遺骨 一時預かり (地域名)」や「預骨 (地域名)」などで検索すると、一時預かりに対応してくれる墓地や納骨堂が見つかるでしょう。
各地域の人気の納骨堂は、こちらからご覧ください。
納骨堂を途中で解約しても、原則永代使用料は返金されません。
おそらく契約書には「一度納付した金額については一切返還しない」などの規約が設けられているはずです。管理者などに掛け合っても、返金されないでしょう。
裁判によって一部返金が認められた例もありますが、そもそも裁判をするには費用や労力がかかります。
やはり、途中で解約するような事態にならないようにすることが大事です。
納骨堂とは、屋内に遺骨を安置する施設です。
これまでの墓石のお墓は代々引き継いで行くことを前提としていましたが、納骨堂の多くは承継者がいなくても使用できます。また、屋内のお墓なので草むしりや墓石磨きも不要なども不要です。
価格帯は幅広く、10万円前後の区画もあれば200万円以上の区画もあります。費用は種類や使用人数、個別区画の使用期間などによって変動します。
形態は様々で、「ロッカー式」「自動搬送式」「仏壇式」「棚式」「位牌式」「屋内に墓石を建てるタイプ」などがあります。
納骨堂の種類による傾向を押さえておくことは、自分にとってどんな納骨堂が合っているのかを考える一助となるでしょう。
お墓さがしでは、全国にある納骨堂を掲載しています。
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納骨堂には、大きく分けて「ロッカー式」「自動搬送式(マンション型)」「仏壇式」「位牌式」「棚式」「屋内に墓石を建てるタイプ」の6つがあります。
できる納骨堂もあります。特に、「自動搬送式(マンション型)」、「仏壇式」、「屋内に墓石を建てるタイプ」の納骨堂では大人数の納骨に対応しており、承継に対応していることも多くあります。
少人数で納骨堂を利用する場合は、「ロッカー式」「位牌式」が比較的安価です。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。